きっかけ
日本と海外を行ったり来たりする生活をしていたり、日本から海外に生活拠点を移したりすると、普段日本で使用していたウェブサービスや支払いの手段が海外で使えなくなって困ることがある。また、空港や駅などの無料wifiスポットで公衆wifiを使用するときも接続時に通信した情報が抜き取られる可能性もありかなり危ない。
Lineで台湾でログインし直すと日本で使用していたLine Payが使用できなくなったり、Paypalで海外でログインするとアカウントがいきなりロックされたり、メルカリで売上金が残っているのに「もうすぐ切れるから早く使うか出金したほうがいいよ」の通知が来て何か買おうと思ったのに日本にいないと買えないとエラーメッセージが出たり、使ってた動画サービスが国内でしか使えない制限がかかっていたりと、海外生活には色々と不便がつきもの。
Lineなどの支払い関係には使えないけど、メルカリ、日本国内制限の動画配信サービスなどお金が絡まらない「国内限定」サービスにはVPNを通してアクセスするとたいてい使えるようになる。
VPNとは
Virtual Private Network の頭文字をとってVPN。日本語では仮想プライベートネットワークで、VPNのプロバイダーが提供している特別なサーバーを通してインターネットに接続することができる。自分が使用している端末とサーバー間の通信は暗号化され、ウェブ上でセキュリティが比較的高くなり、個人情報や端末情報が世間にさらされる危険性が格段に下がる。
本来はこういったセキュリティ目的でVPNを使用するが、VPNサーバーのある国のIPアドレスを使用することになるので、自分がいる国の外のネットワークを介してインターネットにつながることになることがある。外資IT関連会社だと社内のVPNは本社がある国のVPNネットワークにつながったり。
VPNを使う状況
主にこんなときにVPNを使うイメージ:
- ある特定の国の中では使えない(IP制限がされている)サービスにアクセス (例: 台灣に居住していて、日本のサービスを使いたい)
- ウェブサービスや公衆wifiを使う機会が多くなることがわかっているときなど通信状態を常に暗号化したいとき
- 自宅のwifiの通信自体も暗号化して契約しているISPやその他ウェブサービスに自分の情報を共有したくない場合 (たいていの人は滅多にないと思うが)
- ビジネスで顧客の個人情報などを保管しているデータベースや社内情報へのアクセスを特定のVPN接続時のみ許可したいとき
ITインフラやサイバーセキュリティのことをある程度知っていて気にするタイプでない限り、普通に日本で暮らしているとVPNとか意識しないと思うが、身近に感じるところだと以下のようなサービスを海外で使うときに不便を感じたりした。
メルカリ
上に書いたように、売上金の期限が切れそうだったのでポイントに変えて(ポイントを変えること自体も売上金を使用する行為で国外から制限がかかっていた気がする)、メルカリで欲しいものを見つけていざ買おうとしたらこんなメッセージが・・。
メルカリは国内での利用を前提としたサービスになっております。国外からのご利用は制限をかけさせていただいております。
せっかく買いたいものを見つけたので実家に届けてもらって日本に帰るタイミングで取ってこようと思ったのに。(本を買ったのは普段は本はキンドルで買うが本で読みたかったのと、読み終わった後メルカリで売りたかったから)
でもVPNを使って日本のネットワークを介してメルカリにアクセスすると無事買えました。(買ったのは米国貧困層についての本。アメリカ南部に昔住んでいたので読んでみたかった。真面目か)
Amazon Prime Video
次に日本にいた時にほぼ毎日付けていたAmazon Prime Videoも台湾だとせっかく年会費払っているのに↑みたいに面白くなさそうなドラマや子供向けアニメしか見れない。VPN使って日本のネットワークに繋げばAmazon Prime Videoも見られる。
Youtube
Youtubeは日本や台湾で開始していないサービスが色々ある。Youtube Moviesはその一つで最新映画を1-2日間数米ドルでレンタルできるサービス。自分が日本にいた頃はアメリカのVPNに繋いで日本で映画館で公開中の映画をアメリカのYoutubeで借りて見たりしていた。
South Park Studios
これは見る人は自分しかいないと思うが、アメリカのアニメSouth Park。英語の先生であり、ソウルメイト。各エピソードを100回以上見たと自負しているので今季のエピソードをタイムリーに見れないことに苛立ちを覚えていた今日このごろである。これもVPN繋いでアメリカや日本のネットワークで見ればよい。
その他
例えば普段日本で使用していたウェブサービスやアプリを海外で開いたときに「日本国内のご利用に制限しております」と出た場合、検閲が厳しそうな国への渡航時、空港や駅などの公衆wifiを使う機会が多くなりそうなときは前もってVPNに繋げられるようにコンピューターやスマホを設定しておくべき。
設定といってもネットワーク関係は難しいイメージがあるが、自分でVPN用機器を買ったり、日本語の説明がいっぱいの飼料やウェブサイトを読んだりする必要はない。
気軽に使えるVPNアプリTunnelBear
TunnelBearというかなり使いやすいVPNアプリがあるのでここで紹介したい。TunnelBearはカナダのトロントに本社があるVPNプロバイダで、既に5年以上もVPN市場でビジネスをしている会社。数多くあるVPNプロバイダと比べて面倒な設定や説明もなく、一番カンタンに使えるサービスだと思う。
個人的に彼らのマーケティングも好きで、ブランド名から製品キャラクター、UIUXで一貫して使われているBear(クマ)も可愛い。
スマホアプリ版
TunnelBearのウェブサイトからAppsをクリック/タップして自分が使用している端末を選び、専用アプリをインストールしたら、メールアドレスとパスワードを入力してアカウントを作成して、繋げたい国を選びだけ。かなり直感的に使える。
なんでも自社でのマーケティングにはあまり予算をかけずバイラルマーケティングで徐々に広がっていったらしい。共有したくなるイラスト。
デスクトップ版
基本的な操作はスマホ版と同じ。デスクトップで動画を見たりゲームしたりする時にはこのデスクトップ版が必要になる。↓はインストール直後の説明。
ログイン後のスクリーンもスマホとほぼ同じ。スクリーン上に小さいウィンドウが表示されるから繋げたい国を選ぶだけ。
無料 vs 有料
アプリインストール後は無料で500MB分使用でき、その後Twitterでシェアしたりすると1000MB分追加でもらえたりする。メルカリで物を買ったりちょこちょこ使う分には2-3分で15-20MBくらいの消費だったが、South Parkを見ようとしたら開始わずか5分くらいで一気に100MBほど消費したので日常的に使いたい人は有料プランを検討したほうがよいかも。クリスマスシーズンは年間プランの半額キャンペーンがある。
TunnelBear有料版はトライアルとして無料で1週間使用できるので1週間だけでもお試しで使用してみてもいいかもしれない。Android端末だけの使用であればキャンペーン割引以上の割引付き。
TunnelBearでVPNを使用することの利点
以下TunnelBearのウェブサイトで書かれている利点について簡単な日本語にしてみた。これを見ると何ができるかわかりやすいかもしれない。
自分の現在地やIPアドレスを隠す
Your IP address is the unique number that websites use to determine your physical location and track you across different sites. Use TunnelBear VPN to keep your IP address private from websites, hackers and advertisers.
(簡易日本語訳) IPアドレスはウェブサイトのユーザーの現在地を突き止めて、ネット上でどのウェブサイトに訪問したかなどトラッキングするための番号になり得ます。TunnelBearのVPNはユーザーのIPアドレスをハッカーや広告主から見えないようにします。
データ通信を安全に
TunnelBear VPN shields your personal information from prying third-parties and hackers on public WiFi, ISPs and other local networks. Your connection is secured with bear-grade (that’s strong) AES 256-bit encryption. We do NOT log your network activity. Our privacy policy.
(日本語訳) TunnelBearのVPNは第三者やハッカー、大衆向けwifi、ISP(インターネットサービスプロバイダ)などから個人情報を守ります。AES 256-bitの暗号化で通信が守られ、TunnelBear側ではユーザーのオンライン上の行動ログを記録しません。
オープンでグローバルなインターネット体験
TunnelBear VPN can “tunnel” you to another country with a less restricted Internet. Enjoy browsing from anywhere you are in the world to one of 22+ countries in our ever expanding network. TunnelBear VPN makes it easy to get around blocked sites and censorship.
(日本語訳) TunnelBearのVPNはインターネット制限が軽微な国へ通信をトンネリングします。世界のどこからでも22カ国以上のVPNにつなげることができ、ウェブサイト利用制限や検閲を避けることができます。
便利で安全に旅を楽しむ
Safely access your email, favorite sites, domestic news and entertainment while traveling abroad. TunnelBear VPN can bypass restrictions, keep your online activity secure and help you stay connected with life back home.
(日本語訳) 旅行中メールやお気に入りのウェブサイト、母国のニュースやウェブサービスなどに安全にアクセスできます。TunnelBearのVPNはネットワーク制限をくぐり抜け、オンライン上の行動を安全にし、ユーザーが使用したい国のネットワークに常時繋いでおくことが可能です。
オンライントラッキングをブロック
There are countless ways you are being tracked by advertisers, social media and other companies. TunnelBear blocks many of the common ways you can be tracked. Use TunnelBear VPN to limit advertisers from tracking everything you and your family do online.
(日本語訳) 広告主やSNS提供企業などがオンライン上の行動をトラッキングする方法はたくさんあります。TunnelBearはそういった企業からのトラッキングを防ぎます。
読み込み速度をスピードアップ
Use TunnelBear VPN to get around your ISP’s efforts to slow or throttle your Internet connection and sidestep network gridlock. A VPN also prevents your ISP from monitoring your online activity.
(日本語訳) TunnelBearのVPNを使用するとISP(インターネットサービスプロバイダ)が意図的にネットワーク速度を遅くしようとする施策を避けることができ、ISPがユーザーのオンライン上の行動を確認できなくします。
使ってみた感想
使いやすい、接続もはやいので現状は満足。通常のVPNだとOpenVPNなどアプリを入れて設定ファイルを入れて云々など手間がかかるがTunnelBearだと専用アプリインストール後すぐに使えて便利。ビジネスとして社内で使用する場合はインフラチームがネットワークを監査したり、自前で設定したほうがいいのだろうが、個人でVPNに繋ぎたい場合はこれで十分だと思う。
ちなみにTunnelBearは中国で使えるの?
2018年12月に厦門に行った時に中国のネットワーク(廣電網路)に接続してAndroidのアプリで試してみたら、TunnelBearは使用できなかったので、結局香港のデータプランを使用するSimカードでローミングすることに。中国のVPN状況は日に日に厳しくなってきていて昨日使えていたVPNやサービスが次の日使えなくなることもあるので要注意。
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