台湾料理
台湾料理は日本で食べる料理ほど塩気がなく (日本人からすると味がないと感じる食べ物やスープもある)、韓国料理ほど辛い食べ物はない。台湾の料理はどちらかというと甘さがベースでにんにくや調味料で香ばしさを出して食欲を引き立てる料理が多い。
肉は鶏肉と豚肉が多く、牛肉もあるが鶏肉と豚肉に比べると少なく、ちょっとだけ高い。今も豚コレラで豚肉の台湾への輸入が厳しくなっているが、豚肉は台湾で愛されていて魯肉飯(ルーローファン)や蒜泥白肉(スゥアンニバイロー)など豚肉料理が多く、小籠包の中に入っている餡もたいてい豚肉である。
鶏肉も鶏の他に鴨肉やガチョウなど種類が豊富で、揚げたり、炙ったり、炒めたり鶏肉料理も多い。
台湾料理には肉がつきものなのだが、台湾料理を語る上で欠かせないのが肉を使わない「素食」料理。台湾の食文化や宗教的なものにも結びついていてよく調べると面白い。しかも素食は美味しい。
素食とは
素食は「菜食主義料理、ベジタリアン料理」であって、「素」から連想されるような「質素な食事」ではないことを覚えておきましょう。(最初に見た時は精進料理的なものかと勘違いしていました)
「素食」の読み方と特徴
素食は菜食主義者(ベジタリアン)向けの食事という意味で、素食の読み方は「スーシュー (Sùshí)」といいます。(台湾人の発音だと「スースー」に聞こえる)
トップ画像にあるように素食レストランの店には日本でも仏教寺院で使われている「卍(まんじ)マーク」が看板等に書かれているお店も多い。これは台湾の道教や仏教の特定の宗派で肉類やにんにくなど特定の野菜を食べることを禁じているため、これらの禁じられている食材は使っていませんよ、ということを示すために卍が使われていたりする。
また、価格も他の外食点と比べて低価格で、安いところでお腹いっぱい食べることができて60~75台湾ドル(日本円で200円~260円)。また、自助餐 (ズーチューツァン)という食べたい分だけお皿に乗せて、重さに従ってお会計をするレストランでもお腹いっぱい食べて100~130台湾ドル(日本円で350~450円)でした。
素食
職場近くの素食店で晩ごはんとして素食弁当を買って帰ったときの写真。メニューを選ぶとその場で野菜を茹でてくれます。できたてホカホカで美味しい。右上にあるスープはトマトスープで、これに野菜をつけて食べると美味しい。
これで75台湾ドル(260円)でした。ここに写っている野菜はこんな以下。
- 豆腐 (ドウフー) … 豆腐は日本語での発音と同じで大丈夫
- 香菇 (シャングー) … しいたけ
- 小黃瓜 (シャオファングァ) … きゅうり (台湾には「~瓜 (グァ)」がつく野菜が多いです)
- 花椰菜 (ファイェツァイ) … ブロッコリー / カリフラワー
-
五榖飯 (ウーグーファン) …五穀米 (五榖飯という単語を知らなかったときに普通の米とこっちどっちが良いか聞かれた時に「有顏色的就好 (色がついてるやつ)」って言ってました…)
こちらは素食の自助餐 (ズーチューツァン)のお店で自分で選んで取ったおかずと五穀米。これで130台湾ドル(450円)。
写真にのっているのは主にこちら。
- 冬粉 (ドンフェン) … 春雨(はるさめ)
- 蕃茄炒蛋 (ファンジェチャォファン) … (これ個人的に好きでよく食べます)
- 豆干 (ドウガン) … 豆腐の硬めなやつ
-
茄子 (チエズ) … ナス
ちなみに雞蛋(たまご)がある素食レストランは素食とみなさない、という見方もいるそうです。
こちらが素食自助餐のお店で自分でおかずを選ぶ時の光景。20種類以上の料理が所狭しと並べられている。
写真に写っている主な野菜はこちら。
- 素肉 (スーロー) … 肉に見せかけたベジタリアンミート
- 海帶 (ハイタイ) … 昆布
- 煎蛋 (ジェンダン) … 目玉焼き
- 炒高麗菜 (チャオガオリーツァイ) … キャベツの炒めもの
- 紅蘿蔔絲 (ホンローボースー) … 人参を細く切ったもの
- 南瓜 (ナングァ) … かぼちゃ
- 蕃糬 = 地瓜 (ファンシュー = ディグァ) … さつまいも
-
燉紅蘿蔔白蘿蔔 (ドゥンホンローボーバイローボ) … にんじんとかぶを煮込んだやつ
上記の自分がよく行く素食レストランは台北市の北側のMRT西湖駅近くにあります。(観光の人はあまりそっち方面には行かないかもしれないけど)
素食レストランへは外国人はあまり行かないからなのか、自分が行くと店員さんがすごく親切に優しく接してくれる。あとこれもここだけかもしれないが、夜に行くと昼時に比べお客さんの数も少ないので台湾に珍しくもっと親切に接客してくれるから個人的に素食店は好き。
素食レストランの探し方
台湾でGoogle mapで「素食」と検索すると自分の周りにある素食レストランを簡単に探すことができます。試しに自分の職場付近で検索すると3-4件あり、大安の自宅付近で検索すると5-6件ありました。
魯肉飯(ルーローファン)や鹽酥雞(イェンスージー)、小籠包などなど台湾飯に触れた後は台湾の素食料理も味わってみてはいかがでしょうか。
店で使う言い方
ここまでは素食が何かと、西湖の店で食べたものの話。ここから先は、夜市や普通のレストランで「肉なしで食べます」と伝えるときの言い方だけ足す。
※例文の音声は macOS の台湾華語音声(美佳 / Meijia)で生成した読み上げです。店員の話し方・速さとは少し違います。
先に結論だけ
- 我吃素。(wǒ chī sù)=肉なしで食べています
- 我吃蛋奶素。(wǒ chī dàn nǎi sù)=卵と乳は可、肉はなし
- 我吃全素,不要五辛。(wǒ chī quán sù, bú yào wǔ xīn)=卵も乳も五辛もなし
- 這道是素的嗎?(zhè dào shì sù de ma)=この料理は素食ですか?
- 有沒有蛋奶?(yǒu méi yǒu dàn nǎi)=卵や乳は入っていますか?
- 不要肉燥。(bú yào ròu zào)=肉燥(豚のそぼろあん)は入れないで
- 不要香菜。(bú yào xiāng cài)=香菜(パクチー)は入れないで
- 不要蔥,不要蒜。(bú yào cōng, bú yào suàn)=ねぎもにんにくも入れないで
- 請問,有素食嗎?(qǐng wèn, yǒu sù shí ma)=すみません、素食はありますか?
- 請給我素的,謝謝。(qǐng gěi wǒ sù de, xiè xie)=素食のほうをください
型は我吃素/蛋奶素/全素 → 這道是素的嗎 → 有沒有蛋奶 → 不要肉燥・不要香菜・不要蔥,不要蒜。読みは sùshí(スーシュー)。日本語の寿司とは別の言葉だ。
先に自分の食べ方を言う
普通の店でも素食の店でも、最初の一文があるとあとの確認が短い。我吃素はいちばん広い。「肉なしで食べている」までは伝わる。卵・乳・五辛の線引きは、この一文だけでは店員に届かない。
我吃素。
肉なしで食べています。
我吃蛋奶素。
卵と乳は大丈夫です。肉は食べません。
我吃全素。
卵も乳もなしの植物だけです。
我吃全素,不要五辛。
全素で、五辛も入れないでください。
口頭では蛋奶素と言う。包装の標示字は奶蛋素のことが多い。どちらも「卵と乳は可」のほう、と覚えておけば会話は進む。五辛までダメなら、全素のあとに不要五辛を足す。言わないと、にんにくの効いた野菜炒めが来ることがある。
全素・蛋奶素・五辛の違い
会話用に、三つの言い方だけ分けておく。包装食品の標示は、衛生福利部の「包裝食品宣稱為素食之標示規定」(102年公告)が、全素または純素・蛋素・奶素・奶蛋素・植物五辛素の五つに分けている。店の厨房がこの字面どおりとは限らないので、食べられないものは料理のあとに言う。
- 全素(標示では全素または純素):肉・魚・卵・乳なし。五辛もなしの植物だけ。五辛は公告の字面では蔥、蒜、韭、蕎、興渠
- 蛋奶素(標示では奶蛋素):肉・魚と五辛はなし。卵と乳製品は可、という包装上の区分。卵だけ可は蛋素、乳だけ可は奶素
- 植物五辛素:植物性で、五辛を含んでよい区分。卵や乳が入るときは内容物の名前で示す、と公告にある。会話では短い五辛素も聞くが、標示の語は植物五辛素
自分の線が「肉だけダメ、卵とねぎは可」なら、標示の蛋奶素より広い。そのときは可のほうも言う。逆に全素なら、卵・乳・ねぎ・にんにくまで出したほうが、標示を知らない店員にも伝わる。
蛋奶可以,肉不行。
卵と乳は大丈夫、肉はだめです。
不要蛋,不要奶。
卵も乳も入れないでください。
不要五辛。
五辛は入れないでください。
蕎は公告の書き方で、会話では蕎頭のほうだ。興渠は店頭で一語ずつ説明しなくてよい。ねぎとにんにくを先に断れば、ほとんどの厨房には届く。細かい野菜名で迷ったら、その場で指差しで聞く。
這個可以嗎?
これは大丈夫ですか?
これは素食ですか
メニューの字が読めなくても、一皿ずつ確認できる。這道は「この料理」。素的は「素食のほう」。見た目が野菜でも、だしや肉燥が入っていることがある。
這道是素的嗎?
この料理は素食ですか?
有沒有蛋奶?
卵や乳は入っていますか?
有沒有肉?
肉は入っていますか?
湯是素的嗎?
このスープは素食ですか?
スープとだしは見た目で分からない。麺やおかゆも、上に肉がなくても出汁が肉、ということがある。分からなければ湯是素的嗎を足す。おすすめを聞く型は レストラン注文 の「有什麼推薦的嗎」が使える。そのあとに、素食かどうかを重ねる。
有素食的推薦嗎?
素食のおすすめはありますか?
素食の品書きでよく見る名前だけ置いておく。注文の言葉ではなく、指差しの補助だ。豆腐は豆腐、香菇はしいたけ、豆干は硬めの豆腐、素肉は肉に似せた植物肉、海帶は昆布、冬粉は春雨、五穀飯は雑穀ごはん、花椰菜はカリフラワー、高麗菜はキャベツ、地瓜はさつまいも。蕃茄炒蛋や煎蛋は卵料理なので、全素ならここで止めて有沒有蛋奶と聞く。
入れないものを言う
「素食です」のあとに、不要〜で個別に落とす。夜市でも餐廳でも、この「不要」がいちばんよく使う。
不要肉燥。
肉燥は入れないでください。
不要香菜。
香菜は入れないでください。
不要蔥,不要蒜。
ねぎもにんにくも入れないでください。
我不要肉。
肉は要りません。
肉燥は、ご飯や麺にのせる豚のそぼろあん。見た目が小さくても肉だ。魯肉飯の「魯肉」も同じ系統で、ご飯だけにしても肉燥が残ることがある。香菜はパクチー。五辛の話とは別に、苦手なら毎回言う。香菜抜きの言い回しの広がりは 夜市の不要香菜 側に譲る。
書いて頼むときは、不要香菜の「菜」を使う。同じ音の姓「蔡」で 不要蔡 と書かない。音だけだと「野菜抜き(不要菜)」にも聞こえるので、香菜の二文字で書く。
素食餐廳と普通の店
素食餐廳は、メニューが素食として組んである店。普通の店は肉料理が中心で、一品だけ抜いてもらう場所。聞き方も少し違う。
全素還是蛋奶素?
(この店は)全素ですか、蛋奶素ですか?
請給我素的,謝謝。
素食のほうをください。
素食餐廳でも卵料理がある店はある。看板の「素食」や卍だけを見て座らず、全素還是蛋奶素を先に聞く。普通の店では、店ごとが素食かを聞くより、我吃素と這道是素的嗎のほうが早い。出た皿を見て違ったら、その場で言い直す。
不好意思,我吃素,這個有肉。
すみません、肉なしです。これに肉が入っています。
夜市では短く
夜市は説明が長いと流れる。品目の指差しのあとに、抜きたいものだけ並べる。
我要這個,不要肉,不要香菜。
これをください。肉なし、香菜なし。
不要肉燥,謝謝。
肉燥なしでお願いします。
素的有嗎?
素食のものはありますか?
持ち帰りや辛さは夜市の記事の言葉を後ろにつければよい。この記事では、素食かどうかの確認までを担当する。屋台ごとにだしが違うので、分からない鍋は頼まない、で十分だ。
会話例:普通の店で一品確認する
自分(仮に田中)が、肉料理の多い店でご飯ものを頼むときの短いやり取り。
田中:我吃蛋奶素。這道是素的嗎?
卵と乳は大丈夫で、肉は食べません。この料理は素食ですか?
店員:有一點肉燥。
肉燥が少しあります。
田中:不要肉燥。有沒有蛋奶?
肉燥はなしで。卵や乳は入っていますか?
田中:不要香菜,不要蔥,不要蒜,謝謝。
香菜も、ねぎも、にんにくもなしでお願いします。
全素の日は、最初の一文を我吃全素,不要五辛に変える。あとの「這道是素的嗎」「不要肉燥」はそのまま使える。
よくある勘違い
- 素食=質素な定食、精進、または寿司:素食は肉を使わない食事。読みは sùshí で、寿司ではない。味が薄いという意味でもない
- 我吃素で卵もねぎも全部伝わる:肉なし、まで。卵・乳・五辛は別の一文が要る
- 蛋奶素=五辛も自由:包装標示の奶蛋素は五辛なし。店の理解はばらつくので、蔥と蒜は自分で言う
- 五辛素=五辛を食べない人:標示の植物五辛素は、五辛を含んでよい植物性の区分。食べないほうは不要五辛と言う
- 素食餐廳や卍なら何を頼んでも全素:卵や乳がある店もある。全素還是蛋奶素で確認する
- 不要蔡と書けば香菜抜き:蔡は姓。注文は不要香菜。不要菜だけだと野菜抜きにも聞こえる
- 肉が見えなければ肉なし:肉燥とスープのだしは見えにくい。不要肉燥、湯是素的嗎を足す
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まとめ
素食は質素な食事ではなく、肉を使わない食事で、読みは sùshí だ。台湾の夜市とレストランで頼むときは、我吃素/我吃蛋奶素/我吃全素,不要五辛のどれかを先に言い、這道是素的嗎と有沒有蛋奶で一皿を確認する。落としたいものは不要肉燥・不要香菜・不要蔥,不要蒜。素食餐廳でも普通の店でも、看板や卍だけで判断しない。自分も最初は指差しだけだったが、食べ方を一文で言えるようになってから、知らない店でも肉なしを頼みやすくなった。

