台湾に来てから、飲み物の注文はコンビニより手作りドリンク店のほうが出番が多い。五十嵐、清心、迷客夏、CoCo、大苑子——駅前や学校の近く、住宅街の角にも必ず一軒はある。メニューは中文だけ、タピオカや果粒の種類も多く、レジ前の列に並ぶと「何を頼めばいいか」より先に「店員が何を聞いてくるか」で固まってしまう。
特に初心者を止めるのが甜度と冰塊の二語である。字面を見ると「甘い度」「氷の塊」と分かるが、店員は速く「甜度冰塊呢?」と畳みかけてくる。日本のカフェで「砂糖入りますか?」「氷多めにしますか?」と聞かれる感覚に近いが、台湾では選択肢が決まっていて、短い言葉で答えるのが基本である。最初の頃、自分は毎回「正常…正常…」と店員の口真似をするだけで、本当に何を選んだのかよくわからないまま受け取っていた。
夜市の小吃やコンビニの「要加熱嗎?」は別の記事で整理したが、手作りドリンク店はさらにカスタマイズの幅が広い。今回は甜度(甘さ)と冰塊(氷量)、それから溫/熱まで、台湾で実際に聞かれる言葉と答え方を、注文の流れごとにまとめておきたい。
※例文の音声は macOS の台湾華語音声(美佳 / Meijia)で生成した読み上げです。実際の店員の速さや話し方とは少し違います。
先に結論だけ
- 甜度(tián dù)=甘さの程度
- 冰塊(bīng kuài)=氷の量
- 店員の定番質問:甜度冰塊呢?(甘さと氷はどうします?)
- 甘さ:正常甜/少糖/半糖/微糖/無糖
- 氷:正常冰/少冰/去冰(温・熱も選べる)
迷ったら、初めての店では正常甜、正常冰から始めて、次回以降に「半糖、少冰」のように調整するのが安全である。コンビニのレジで「要」と短く答える感覚(要加熱嗎の記事)と同じく、ドリンク店でも長い説明より短い語を並べるほうが自然である。
まず商品を注文(我要一杯)
甜度冰塊の前に、まず何を飲むかを伝える。台湾のドリンク店では「我要一杯〜」が定番の入り口である。「我要」は「欲しい・ください」、「一杯」は「一杯分」という意味で、コンビニや夜市でも使う「要」の応用である。
我要一杯。
一杯ください。
このあとに飲み物の名前を続ける。例えば珍珠奶茶(タピオカミルクティー)なら次のように言う。
我要一杯珍珠奶茶。
タピオカミルクティーを一杯ください。
サイズを指定したい場合は「大杯」「中杯」「小杯」を前に付ける。店によって呼び方が少し違うが、「大杯」がいちばんよく聞こえる。メニュー板を指差しながら「這個,一杯」でも通じるが、名前が言えると店員も入力が早い。
我要一杯大杯珍珠奶茶。
タピオカミルクティー、大サイズで一杯ください。
自分が最初に覚えたのは「我要一杯」だけだった。あとはメニューの写真を指して、店員が「甜度冰塊呢?」と聞いてくれるのを待つやり方である。慣れてくると、最初から「我要一杯珍珠奶茶,半糖,少冰」とまとめて言えるようになる。
甜度:甘さの選び方
甜度(tián dù)は文字どおり「甘い度合い」。台湾の手作りドリンクは、店のレシピ基準で砂糖シロップや果糖を調整する。メニューに書いてある「正常甜」が、その店の標準の甘さである。日本の「普通の甘さ」に近いが、台湾の正常甜は日本のカフェドリンクより甘く感じることも多い。
店員が「甜度呢?」とだけ聞いてくることもある。以下の五段階を覚えておけば、ほとんどのチェーン店で対応できる。
正常甜(zhèngcháng tián)
その店の標準甘さ。初めて飲むメニューなら、まず正常甜で味の基準を掴むのがおすすめ。
正常甜。
標準の甘さで。
少糖(shǎo táng)
砂糖を少なめに。正常甜より控えめだが、完全に無糖ではない。自分好みの甘さを探すとき、正常甜が甘すぎたら次は少糖を試す。
少糖。
砂糖少なめで。
半糖(bàn táng)
標準の半分の甘さ。台湾のドリンク店でいちばんよく耳にするカスタマイズの一つ。タピオカや果粒の甘さもあるので、ミルクティー系では半糖がバランスよいことが多い。
半糖。
半分の甘さで。
微糖(wēi táng)
ごく少量の甘さ。ほぼ無糖に近いが、完全ゼロではない。茶の風味を楽しみたいときや、フルーツ系で素材の甘みがあるメニュー向き。
微糖。
ほんの少しだけ甘く。
無糖(wú táng)
砂糖なし。ただしタピオカやジャム、練乳入りのメニューは素材自体に甘みがあるので、「無糖=完全に甘くない」とは限らない点に注意。
無糖。
砂糖なしで。
店によっては「一分甜」「三分甜」「五分甜」「七分甜」のように割合で聞くところもある。五分甜は半糖、三分甜は少糖、七分甜は正常甜より少し控えめ、というイメージで覚えるとよい。迷ったら「半糖」か「少糖」を選べば、大抵の店で通じる。
自分は最初、正常甜の珍珠奶茶を飲んで「甘い…」と思い、次から半糖に固定した。今ではメニューによって半糖と微糖を使い分けている。甜度は一度覚えると、同じチェーンの別店舗でもそのまま使えるので、投資対効果が高い語彙である。
冰塊:氷の選び方
冰塊(bīng kuài)は「氷の塊=氷入りの量」。台湾の夏は長く、冷たいドリンクが生活の一部になる。一方で、氷が多いと味が薄まったり、飲み終わる頃に氷だけ残ったりすることもある。冰塊の選択は、甘さと同じくらい注文の満足度に効いてくる。
正常冰(zhèngcháng bīng)
その店の標準的な氷量。初めてのメニューなら、まず正常冰で試すのが無難。
正常冰。
普通の氷量で。
少冰(shǎo bīng)
氷を少なめに。味が濃く感じられ、容器の容量に対して飲み物そのものが多く入る。自分がいちばんよく使う指定である。
少冰。
氷少なめで。
去冰(qù bīng)
氷は入れないが、飲み物自体は冷たい。日本の「ノンアイス」に近いが、台湾の去冰は冷蔵された液体ベースなので、氷なしでも冷たい飲み物が来る。歯が氷冷たいのが苦手な人向き。
去冰。
氷なしで(冷たいまま)。
「去」は「取り除く」、「冰」は「氷」。去冰と無糖を組み合わせると、かなりさっぱりした味になる。ただしタピオカは冷たい液体に浸かる時間が長くなるので、歯ごたえが変わることもある。
さらに「微冰(氷ごく少量)」「常溫(常温)」を選べる店もある。常溫は文字どおり室温の飲み物で、お茶系をさらっと飲みたいときに使う。冰塊の段階は店によって微妙に違うが、正常冰・少冰・去冰の三つだけ先に覚えておけば、現場では困らない。
溫/熱:温かい飲み物
台湾のドリンク店は冷たいイメージが強いが、冬場や雨の日、またはお茶・ミルクティーを温かく飲みたいときは「溫的」「熱的」を選べる。メニューによっては温かいバージョンがないものもあるので、看板やメニューに「可熱」と書いてあるか確認するとよい。
溫的。
温かいので(ぬるめ〜温かめ)。
熱的。
熱いので。
「溫」は「温かい(ぬるめ寄り)」、「熱」は「熱い」。店員に「可以溫的嗎?」と聞けば「温かいのにできますか?」になる。紅茶や冬瓜茶、部分のミルクティーは温かい選択が人気である。
我要一杯熱的珍珠奶茶,半糖。
タピオカミルクティー、熱いので、半糖で。
温かい飲み物を選んだ場合、冰塊の質問は通常スキップされる。代わりに甜度だけ聞かれる。コンビニの要加熱嗎が「温めるかどうか」なのに対し、ドリンク店の溫/熱は最初から温かい状態で作る、という違いがある。
注文の流れ(例)
実際のレジ前では、だいたい次の順番で進む。音声で流れを確認してから店に行くと、当日の緊張が減る。
店員:歡迎光臨,請問要什麼?
いらっしゃいませ、何になさいますか?
自分:我要一杯大杯珍珠奶茶。
タピオカミルクティー、大サイズで一杯ください。
店員:甜度冰塊呢?
甘さと氷はどうしますか?
自分:半糖,少冰。
半糖、氷少なめで。
店員:好,一共六十五元。
かしこまりました、六十五元です。
まとめて最初から言うこともできる。
我要一杯珍珠奶茶,半糖,少冰。
タピオカミルクティー、半糖、少氷で一杯ください。
去冰でさっぱり派の例。
我要一杯柠檬青,微糖,去冰。
レモン系のドリンク、微糖、氷なしで。
冬場の温かい注文。
我要一杯热奶茶,半糖。
ホットミルクティー、半糖で。
店員は慣れた手つきでタップ入力するので、自分も短くはっきり言うのがコツである。「半糖,少冰,謝謝」と末尾に謝意を添えても自然。台湾のドリンク店は注文のテンポが速いが、カスタマイズの言葉さえ覚えれば、後ろの列を気にせず注文できる。
まとめ
台湾の手作りドリンク店で聞かれる甜度と冰塊は、それぞれ甘さと氷量の指定である。店員の「甜度冰塊呢?」に、短い語で答えればよい。
- 甜度:正常甜 → 少糖 → 半糖 → 微糖 → 無糖(甘い順に調整)
- 冰塊:正常冰 → 少冰 → 去冰(氷を減らしていく)
- 溫/熱:温かい飲み物は冰塊の代わりに「溫的」「熱的」
- 注文の型:我要一杯+メニュー名+半糖+少冰
初めての店では正常甜・正常冰から試し、甘すぎたら半糖、氷が多すぎたら少冰と段階的に調整するのがおすすめ。コンビニの「要/不用」と同じく、一語で答えられるようになると、台湾の日常がぐっと楽になる。
次にドリンク店の列に並んだら、「我要一杯」とメニュー名、そして「半糖,少冰」と声に出してみてほしい。自分好みの一杯が注文できるようになると、台湾の夏(と冬の熱い奶茶)がかなり心地よくなると思う。

