映画で英語学習
「言語は文脈で覚える」のが一番早い言語の身につけ方で、さらに言語学習に対する強制や強迫感などなく、自分が能動的に知りたい面白いと思える文脈だと記憶に定着する時間も長く効率よく言語を学べる。
しかもその文脈が「自分が理解できる語彙や表現よりちょっとだけ少し高いレベル」だとより質の高い学習が起こる。
↑これはただの自分の経験論ではなく言語教育学で研究され提唱されている言語習得 (language acquisition) の方法論であったりする。
今回はスパイダーマンの最新映画の予告動画からいくつかフレーズをピックアップして掘り下げてみましょう。
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この投稿内に映画のネタバレはありません。ちなみに「ネタバレ」は英語で spoiler (スポイラー)。spoil は「だめにする、台無しにする、役立たずにする」という意味で、その名詞である spoiler は「映画の楽しみを台無しにする」という意味から来ています。ちなみに spoiled は人に対して使うと「甘やかされた」とか「ちやほやされて一人じゃ何もできない親にだめにされた(子/人)」みたいな意味になり、ものに対して使うと「もう使えない」とか「腐った」とかのニュアンスになります。覚えておいて損はないかも。
以下は trailer (予告編) の内容で簡単でわかりやすく日常で使う機会がありそうなものをピックアップしてみた。
- So nice to finally meet you.
- You are a very difficult person to contact.
- You have a job to do. Are you going to step up or not?
- Your friends are in trouble. What are you gonna do about it?
So nice to finally meet you.
so と finally
普通の Nice to meet you も so と finally を付けてちょっと言い方を変えるだけで sarcastic (皮肉っぽい) なニュアンスになったりする良い一例。この映画の場面では「やっと見つけた」みたいな意味合いになるのかな。
You are a very difficult person to contact.
difficult
“difficult” と “hard”、 “challenging” や “not easy” の違いは皆さんご存知だろうか。自分が米国に住んでいた頃は日本語の表現でよく言うような「今日はちょっとむずかしい」などの文脈で “difficult” という単語を聞いたことは皆無だった。日本語の「難しい」と英語の difficult はニュアンスが異なっていて、どちらかと言うと hard や challenging (difficult + ポジティブなニュアンス)の方が意味合い的には近く、「それに向かって能動的な努力が必要」なことを表す際の表現ということを知っておく必要がある。
difficult (adj.)
c. 1400, “not easy, requiring or dependent on effort; troublesome, arduous,” apparently an unetymological back-formation from difficulty. French has difficile, Latin difficilis. Of persons, “hard to please,” from 1580s. Related: Difficultly.
ちなみに中国語の表現で、聞いた曲が好きじゃないときに「好難聽 hao nan ting」と言ったり、食事をして不味く感じたことを「好難吃 hao nan chi」と言ったりする。この「難 nan」は英語の difficult とは違い、日本語の「難しい」とニュアンスは似ている。
You have a job to do. Are you going to step up or not?
a job to do
“job” は一般的に「仕事」などと訳されたり、そう覚えている人も多いと思う。
現代使われている英単語も同じで「やるべきこと、タスク」という意味としてここのニュアンスでは使われている。ただ、「(義務や使命感、仕事として)やらなければならないこと」というニュアンスが強い。ここではアベンジャーズのビッグボスであるニック・フューリーからスパイダーマンであるピーターに向かって job という表現を使うことで二人の関係性(どっちが立場的に上か)を表している。
この表現を「義務感や仕事としてやらないといけないこと」のニュアンスをなくした他に言い換えると、a stuff to do、a thing to do などがある。
step up
step は色々と使える便利な単語。step up は「進歩する、レベルが上がる」などの意味だが、ここでは(自分の解釈で意訳すると)「お前が舞台に上がらないで誰が上がるんだ」という、視覚的な step up とヒーローとしてのピーターを鼓舞して一段階成長させる step up とかけている。
ちなみに米国にいた時大学のコンピューターラボで働いていた時期があったのだが、同僚を探しに来たボスに向かって別の同僚が “she just stepped out.” と言っていた。「さっきこの部屋を出ていった」という意味だが、「出ていった」と言うために “she just left” というと「もう家に帰った」的な意味にもなるし、「どこいったか知らないけど、ちょうどさっき出ていった」的なニュアンスをぴったり伝えられてなるほどなと思ったことを覚えている。
Your friends are in trouble. What are you gonna do about it?
in trouble
ここでの in trouble は文字通り「トラブルに巻き込まれている」という意味だが、英語の trouble は日本語の「トラブル」にはない意味合いがある。例えば、”I’m having a trouble getting a job” は「仕事を見つけられなくて苦労している」で面倒というよりは「大変だ」などの意味。英語で言い換えると “I’m having a hard time gettting a job” で、
また「面倒くさい」的な意味合いで troublesome と言ったりもするが、会話的には「面倒なこと」は hassle と言ったほうが自然。
what are you going to do about it?
“what are you gonna do about it?” は自発的に行動すること期待して相手を鼓舞したり、けしかけるようなニュアンス。例えばテストで悪い点を取った子供に次はちゃんと勉強するように期待して “well, what are you going to do about it?” と言ったりする。
…などなど、短い映画の予告編でしかもめっちゃ簡単な英単語でもこんなに使える表現が散りばめられている。映画は語学学習の宝ですわ。
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— げん (@Gegegegensan) June 2, 2019