台湾に来てから外食の比率が一気に上がった。コンビニも良いが、雨の日や帰宅後に料理する気力がない日は、foodpanda や Uber Eats で頼むことが増えた。アプリの画面はだいたい日本語や英語にも切り替えられるのだが、注文を確定する前に必ず目に入るのが「備註」欄である。ここに何を書けばいいのか、最初は空欄のまま注文して、届いた弁当に不要なスプーンとフォークが大量についてきたり、無料の味噌汁が一緒に入っていたりして、後から「ああ、書いておけばよかった」と後悔した。
台湾のデリバリー文化では、備註(メモ欄)がかなり重要である。日本の Uber Eats でもメモは書けるが、台湾では「不要餐具」「不要湯」「少辣一點」のような短い中文フレーズが定番どころの語彙になっている。店側も毎日何百件も同じような備註を見ているので、決まった言い方をそのまま書けば、厨房でスムーズに処理してくれる。
自分も最初の頃は、備註欄を見て「備…註…?備考?」と読み方から調べ直した。外送(デリバリーそのもの)と備註(注文メモ)の二語を押さえると、アプリ画面の意味が一気に掴みやすくなる。今回は自分が実際に foodpanda で使っているフレーズを中心に、外送・備註・不要餐具・不要湯・多飯・少辣一點・放門口・電話聯繫あたりを整理しておきたい。
※例文の音声は macOS の台湾華語音声(美佳 / Meijia)で生成した読み上げです。実際の配達員や店員の話し方・速度とは少し違います。
先に結論だけ
- 外送(wài sòng)=デリバリー、配達。店から自宅や指定場所へ届けること
- 備註(bèi zhù)=注文メモ欄。ここに要望や配達指示を書く
- 不要餐具(bù yào cān jù)=カトラリー不要
- 不要湯(bù yào tāng)=スープ不要(便當に付く無料スープなど)
- 多飯(duō fàn)=ご飯多め
- 少辣一點(shǎo là yì diǎn)=辛さ控えめに
- 放門口(fàng mén kǒu)=ドアの前に置いて
- 電話聯繫(diàn huà lián xì)=電話で連絡して
迷ったら、短い中文を備註にそのまま書けばだいたい通じる。最後に「謝謝」を添えると、台湾の外送文化に馴染んだ書き方になる。
外送(wài sòng)=デリバリー
外送は文字どおり「外へ送る」、つまりデリバリーのこと。台湾では foodpanda、Uber Eats に加え、店舗独自の外送サービスや LINE 公式アカウントから注文できる店も多い。メニューに「外送」や「提供外送」と書いてあれば、配達に対応している。
日本語の「デリバリー」「配達」とほぼ同じ意味で使われる。店員に口頭で聞く場面では、
可以外送嗎?
デリバリーできますか?
と言えばよい。アプリ経由が主流なので、外送という語自体を毎日口にする機会はそこまで多くないが、画面や看板で頻出する。
自分が最初に混乱したのは、外送料が「運費(yùn fèi)」と表示されることと、最低注文金額の存在である。外送という言葉は注文の「方式」を指し、料金とは別の概念。アプリ上部に「外送」と「自取(テイクアウト)」の切り替えタブがある店も多い。
備註(bèi zhù)=注文メモ欄
備註は注文画面の「メモ」「備考」に相当する欄。ここに書いた内容は、店の厨房スタッフと配達員の両方が見る。台湾の外送では、備註の活用度が日本より高い印象がある。
備註に書けることの例:
- 料理のカスタマイズ(辛さ、量、不要な具材)
- カトラリーやスープの要否
- 配達方法(ドア前に置く、電話してから渡す)
- 建物の入口やエレベーターの案内
- 礼儀としての「謝謝」「麻煩了」
foodpanda や Uber Eats では、注文確認画面の下の方に「備註」または「Add a note」と表示される。空欄のままでも注文はできるが、台湾に住むうちに「ここを使わないともったいない」と感じる場面が増える。
自分が最初に備註を真剣に使い始めたのは、マンションの自動ドアを開けられない時間帯に配達が来て、5分間インターホンと格闘したあとである。それ以降、備註には必ず配達指示か連絡方法を書くようにしている。
不要餐具(bù yào cān jù)=カトラリー不要
不要は「〜不要」、餐具(cān jù)は食器・カトラリーの総称。スプーン、フォーク、箸、ストローなどが該当する。環境意識の高まりもあり、台湾の外送では「不要餐具」は非常によく見る備註である。
自宅にカトラリーがある、環境のためにプラスチックを減らしたい、という理由で書く。店によってはデフォルトで付けてくるので、不要なら明示したほうが確実。
丁寧に書くなら、
不要餐具,謝謝。
カトラリー不要です、ありがとうございます。
のように末尾に謝謝を添える。自分は毎回これを書いている。最初の頃は「不要」だけだと冷たい印象ではないかと心配したが、台湾の外送では普通の書き方である。
関連で、袋も不要なら「不要袋子(bù yào dài zi)」と書くこともある。コンビニの「要袋子嗎?」と同じ「不要」パターンである。
不要湯(bù yào tāng)=スープ不要
台湾の弁当店では、お弁当に無料の味噌汁やスープが付くことが多い。食べない・こぼれやすいから不要、という理由で「不要湯」と書く。
湯(tāng)はスープ、汁、お吸い物全般。日本語の「湯(お湯)」とは使い方が異なるので注意。便當一つ頼むだけで、汁まで付いてくる店が多く、最初は「サービスが手厚い」と感動したが、不要な場合は毎回こぼしてしまうので備註に書くようになった。
同じ「不要〜」のパターンで、よく使うものを挙げると次のとおり。
- 不要蔥(bù yào cōng)=ネギ不要
- 不要香菜(bù yào xiāng cài)=パクチー不要
- 不要調味料(bù yào tiáo wèi liào)=調味料・ソース袋不要
「不要〜」で始まる備註は、台湾の外送で最も多いカテゴリの一つ。調査データでも「不要蔭」がトップクラスに入るほど、ネギや香菜の好み分けは日常茶飯事である。
多飯(duō fàn)=ご飯多め
多(duō)は「多い」、飯(fàn)はご飯。字面どおり「ご飯を多くしてほしい」という意味。便當のボリュームを増やしたいときに使う。
反対に少なめなら「少飯(shǎo fàn)」。店によっては追加料金がかかることもあるが、備註に書くだけで対応してくれる店がほとんど。自分は食べ盛りの時期に「多飯」を試し、意外と普通に増量してくれて助かった。
ご飯以外のパーツを増やしたい場合は、
多菜(duō cài)
おかず多め
加飯(jiā fàn)
ご飯追加(有料の場合あり)
のように言い分ける。まずは短い「多飯」で十分通じる。
少辣一點(shǎo là yì diǎn)=辛さ控えめ
少(shǎo)は「少なく」、辣(là)は辛い、一點(yì diǎn)は「少し」。合わせて「少し辛さを控えめにしてほしい」という意味。台湾の料理は見た目以上に辛いことがあるので、外送では定番の備註である。
「一點」は「少し」のニュアンスを柔らかくする用法。命令口調になりすぎないので、備註向きの言い方である。
辛さの調整バリエーション:
- 不要辣(bù yào là)=辛いのは一切不要
- 微辣(wēi là)=ごく少し辛い
- 中辣(zhōng là)=中辛
- 大辣(dà là)=大辛
自分は最初「不要辣」と書いて、辛さゼロのつもりだったら、まだ少し辛かった。台湾の「辣」は店によって基準がバラバラなので、今は「少辣一點」をデフォルトにしている。完全に辛くしたくない日だけ「不要辣」を使う。
放門口(fàng mén kǒu)=ドアの前に置いて
放(fàng)は置く、門口(mén kǒu)はドアの前。合わせて「ドアの前に置いてください」という配達指示。コロナ以降、非接触配達の文化が定着し、台湾でも非常によく見る備註になった。
foodpanda や Uber Eats には「非接触配達」のチェックボックスもあるが、備註に「放門口」と書くほうが店側・配達員側ともに明確なことが多い。
より丁寧に書くなら、
請放門口,謝謝。
ドアの前に置いてください、ありがとうございます。
マンションの場合、ドアの前だけだと迷う配達員もいる。そういうときは続けて入口の情報を書く。
放門口,不要按門鈴。
ドア前に置いて。ベルは鳴らさないで。
自分が住んでいた建物では、ベルを鳴らすと犬が吠える階があった。備註に「不要按門鈴」を足してから、配達トラブルが減った。
電話聯繫(diàn huà lián xì)=電話で連絡して
電話(diàn huà)は電話、聯繫(lián xì)は連絡する。合わせて「電話で連絡してください」という意味。住所が複雑な台湾では、配達員から電話が来るのは珍しくない。逆に、こちらから「着いたら電話して」と指定することもできる。
使い方の例:
- 電話聯繫=到着したら電話して
- 到了請電話聯繫=着いたら電話してください
- 找不到請電話聯繫=見つからなければ電話してください
自分がこのフレーズを覚えたのは、巷(路地)の奥のマンションに住んでいた時。Google Maps のピンは合っているのに、配達員が入口を見つけられず、5分おきに電話が鳴る日と、一切連絡なく「配達完了」になって食事が行方不明になる日があった。備註に「找不到請電話聯繫」と書くようになってから、だいぶ落ち着いた。
電話に出るときは、前の記事で書いた住所の読み方(巷・弄・號)をゆっくり伝えるとスムーズである。
備註の書き方:実用例
複数の要望を備註にまとめるのが基本。短いフレーズをカンマ(,)や句点(。)でつなげばよい。
例1:便當を頼むとき
不要餐具,不要湯,少辣一點,謝謝。
カトラリー不要、スープ不要、辛さ控えめ、ありがとう。
これだけで厨房側に必要な情報がほぼ伝わる。自分が最もよく使う組み合わせである。
例2:ご飯多め+配達指示
多飯,放門口,謝謝。
ご飯多め、ドア前に置いて、ありがとう。
例3:住所がわかりにくいとき
從53巷進去,到了請電話聯繫。
53巷から入って、着いたら電話してください。
例4:礼儀を添える
台湾の外送文化では、備註に「謝謝」や「麻煩了(麻煩您了)」を書く人がとても多い。Uber Eats のデータでも「謝謝您/你」が備註で最も多いフレーズの一つとされている。要求ばかりに見えないよう、最後に一言添えるのがおすすめ。
foodpanda・Uber Eats での操作メモ
アプリによって画面は異なるが、流れは共通している。
- 店を選び、メニューをカートに入れる
- 注文確認画面で「備註」欄を探す
- 短い中文で要望を書く
- 住所・電話番号を確認する
- 支払い方法を選んで確定
備註欄は文字数制限があることが多い。長文にせず、キーワードを並べるスタイルが台湾流である。日本語や英語で書いても通じる店もあるが、中文のほうが厨房で読み飛ばしやすい。最初はコピペ用の定型文をメモ帳に保存しておくと楽。
自分のメモ帳には、
不要餐具,不要湯,少辣一點,謝謝。
がデフォルトで入っている。配達先やその日の気分に応じて「多飯」「放門口」「電話聯繫」を足すだけ。
よくあるトラブルと対処
- 備註が無視された:ピーク時は漏れることもある。次回同じ店なら、より短く目立つ位置に書くか、電話連絡を追加する。
- 配達員から電話が来ない:台湾の SIM や番号が通じているか確認。備註に「電話聯繫」を明記する。
- カトラリーが毎回付く:「不要餐具」を書いても付く店はある。プラスチック削減の動きはあるが、完全ではない。
- 辛さの基準がバラバラ:「少辣一點」で様子を見て、ダメなら「不要辣」に切り替える。
自分も一度、備註に「不要湯」を書いたのにスープが入っていたことがあった。店側に連絡したら「申し訳ない、次回気をつける」と返事が来た。備註は万能ではないが、書いておくほうが圧倒的に成功率は高い。
まとめ
台湾のデリバリーで押さえる語彙は、外送(デリバリー)と備註(メモ欄)の二語から始めればよい。実際に備註へ書く定番フレーズは次のとおり。
- 不要餐具=カトラリー不要
- 不要湯=スープ不要
- 多飯=ご飯多め
- 少辣一點=辛さ控えめ
- 放門口=ドア前に置いて
- 電話聯繫=電話で連絡して
短い中文を備註に並べ、最後に「謝謝」を添える。これだけで、台湾の外送はかなりスムーズになる。自分も最初は毎回空欄で注文していたが、上記のフレーズを覚えてから、届いた食事の「余計なもの」が減り、配達のストレスも下がった。
次に foodpanda で便當を頼むとき、備註欄に「不要餐具,不要湯,少辣一點,謝謝。」と書いてみてほしい。きっと届いた荷物が、少しだけ自分好みになるはずである。


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