台湾に住んでいると、MRT(捷運)や公車は生活の足になる。Google Maps でルートを調べても、改札を出たあと「出口はどっち?」と迷ったり、ホームで「この電車、台北方面で合ってる?」と不安になったりする。アナウンスは中文で流れるし、案内板も繁体字だ。日本語や英語の案内は主要駅に限られる。
自分も最初の頃、方向表示の「往台北方向」を見ても、往が「行き」なのか「向かう」なのかピンとこなかった。乗り換え案内の「請在本站換乘」も、換乘が「乗り換え」だと知るまで何度も見逃した。下車は「降りる」、下一站は「次の駅」——こういう対応表を頭に入れるだけで、乗車中のストレスはかなり減る。
今回は、台湾のMRT・公車で実際に耳にする中文を、往・下車・換乘・出口・請問を中心に整理する。車内アナウンスや駅の看板、乗客への質問まで、現場でそのまま使える例文を音声付きでまとめておきたい。
※例文の音声は macOS の台湾華語音声(美佳 / Meijia)で生成した読み上げです。実際のMRTアナウンスや運転手の速さ・話し方とは少し違います。
先に結論だけ
台湾のMRT・公車で押さえておきたい基本語は次のとおり。
- 往(wǎng)=〜方面・〜行き
- 下車(xià chē)=降りること
- 下一站(xià yī zhàn)=次の駅・停留所
- 換乘(huàn chéng)=乗り換え
- 請問(qǐng wèn)=すみません、〜を教えてください
- 出口(chū kǒu)=出口
- 入口(rù kǒu)=入口
方向を確認するときは「往○○方向」、降りる場所を聞くときは「在哪裡下車?」、乗り換えは看板の「換乘」、困ったら「請問」で切り出す——この四つが軸になる。車内では「下一站」「到了」「門快關了」がアナウンスで繰り返し流れる。
往(wǎng)=〜方面・〜行き
「往」は台湾のMRT・公車で最もよく見る方向を示す語の一つ。字面は「向かう」だが、案内板や車内表示では「〜行き」「〜方面」と読めばよい。日本の「○○方面」「○○行き」とほぼ同じ感覚である。
ホームの案内板や電車の側面に「往台北方向」「往新店方向」と書いてある。台北MRTのRed Line(淡水信義線)なら「往淡水/往象山」、Blue Line(板南線)なら「往頂埔/往南港」といった表示になる。乗る前に必ず確認したい。
往台北方向
台北方面行き
「方向(fāng xiàng)」を付けると「〜方面」と明示される。方向だけでも通じるが、案内ではほぼセットで出てくる。反対方向は「往○○方向」の向かい側のホームに行く。
公車でも同じ。「往○○」と表示されたバスに乗れば、その方面へ向かう。自分が最初に迷ったのは、同じ駅名でも「往」が違うと全く逆方向に行ってしまうこと。Google Maps が「往新店方向」と表示してくれても、ホームに着いたとき改めて看板を見る癖をつけると安心である。
車内アナウンスでも「本列車往台北方向」と流れる。これは「この電車は台北方面行きです」という意味。乗った直後に一度聞こえたら、方向の確認完了である。
下車(xià chē)と下一站(xià yī zhàn)
「下車」は文字どおり「車から降りる」こと。MRTでは「請在下車門側等候(降車ドア側でお待ちください)」、公車では運転手が「下車的請按鈴(降りる方はベルを押してください)」と言う場面で出てくる。
降りる場所がわからないとき、人に聞く定番フレーズがこれ。
請問,在哪裡下車?
すみません、どこで降りればいいですか?
「哪裡(nǎ lǐ)」は「どこ」、「下車(xià chē)」は「降りること」。公車に乗って目的地の名前がわかっていても、停留所の位置がわからないときに使える。相手は「下一站下車(次の停留所で降りて)」や「○○站下車(○○で降りて)」と答えてくれる。
「下一站(xià yī zhàn)」は「次の駅・停留所」。MRTの車内アナウンスで最も頻度が高い語の一つである。
下一站,台大醫院。
次は、台大醫院です。
日本の「次は○○です」と同じ。英語アナウンスでは “Next stop, National Taiwan University Hospital” のように続く。中文と英語の両方が流れるので、英語が聞き取れれば中文の復習にもなる。
降りる駅に近づくと「下一站,○○。左側下車(次は○○、左側のドアが開きます)」のように、ドアの位置まで案内してくれる。右側下車(右側のドア)か左側下車かは路線・駅によって異なるので、アナウンスを聞き逃さないようにしたい。
到着時のアナウンスは「到了(dào le)」——「着きました」という意味。
到了,請下車。
到着しました。お降りください。
「到了」は日常会話でも「着いたよ」と言うときに使う。友達との待ち合わせで「我到了(着いた)」とLINEするのも、この「到了」である。
換乘(huàn chéng)=乗り換え
「換乘」は台湾のMRT・公車で「乗り換え」を意味する語。日本語の「乗換」に相当する。駅の案内板、ホームの表示、車内アナウンス、Google Maps の中文表示——どこでもこの語が出てくる。
換乘
乗り換え
台北MRTでは主要駅で路線を乗り換える。例えば台北駅でRed LineとBlue Lineを換乘する、忠孝復興でBlue LineとBrown Lineを換乘する、といった場面。案内板には「請在本站換乘○○線(この駅で○○線にお乗り換えください)」と書いてある。
「本站(běn zhàn)」は「この駅」。車内アナウンスでは「需要換乘的乘客,請在本站下車(乗り換えのお客様は、この駅でお降りください)」と流れる。換乘と下車がセットで出てくるので、両方覚えておくとスムーズである。
乗り換えのとき「這班(zhè bān)」という言葉も聞こえる。「這班」は「この便/この電車・バス」という意味。
這班到台北車站嗎?
この電車、台北駅に着きますか?
ホームで電車が来たとき、自分の乗りたい便かどうか不安なら、この文で確認できる。相手は「對(はい)」か「不是,要換乘(いいえ、乗り換えが必要)」と答える。
「捷運站(jié yùn zhàn)」はMRTの駅全体を指す言葉。公車のバス停とは区別される。
捷運站
MRT駅・捷運の駅
「捷運」は台湾独特の呼び方で、MRT(Mass Rapid Transit)のこと。日本語の「地下鉄」に近いが、台北の捷運は地上区間も多い。駅ビルや案内で「捷運站入口」「捷運站出口」と書いてあるのを見かける。
請問・出口・入口
駅で迷ったとき、最初に口を開く言葉が「請問(qǐng wèn)」。「すみません、ちょっとお聞きしたいのですが」という前置き。台湾では店や駅、道端でも非常に高頻度で使われる。
請問,出口在哪裡?
すみません、出口はどこですか?
「請問」のあとに聞きたいことを続ける。出口、入口、換乘、トイレ——なんでもこの形で聞ける。相手に失礼にならない、台湾式のクッション言葉として覚えておくとよい。
「出口(chū kǒu)」は文字どおり「出る口」。改札を出たあと、地上に出るための出口番号を探す場面で使う。台北MRTは出口番号が1〜9など数字で管理されている。「出口3往○○」と書いてあれば、3番出口から出ればその方面に向かえる。
出口
出口
Google Maps や駅の案内図でも「出口1」「出口2」と表示される。目的地に最も近い出口を事前に調べておくと、改札を出たあとの迷子を防げる。自分は最初、出口をランダムに選んで出て、逆方向に10分歩いた経験がある。
「入口(rù kǒu)」は「入る口」。MRT駅の入場口、公車の乗車口を指す。
入口
入口
駅によっては入口と出口が分かれている。案内板の「入口」「出口」の矢印を確認してから動く。特に大きな駅(台北車站、西門站など)では、間違った出口から出ると長い地下道を戻る羽目になる。
トイレを探すときも「請問」が使える。
請問,有衛生間嗎?
すみません、トイレはありますか?
「衛生間(wèi shēng jiān)」はトイレの丁寧な言い方。MRTの駅構内には多くの駅に衛生間があるが、場所は駅によって異なる。改札内にある駅もあれば、改札外にある駅もある。
公車でも同じ言葉が使える
MRTで覚えた語は、公車(バス)でもほぼそのまま使える。台湾の公車は路線数が非常に多く、停留所の名前も中文で表示される。ただし、MRTと違って運転手や車内の案内板が頼りになる場面が多い。
公車に乗るとき、ドア付近に「請進車(qǐng jìn chē)」と書いてあることがある。これは「お乗りください」という意味。
請進車
お乗りください
後ろドアから乗車し、前ドアで降りるのが台湾公車の基本。悠遊卡や一卡通をかざして乗車する。降りるときは事前にベルを押す。運転手が「下車請按鈴」と案内しているのはこのためである。
降りる直前には「門快關了(mén kuài guān le)」というアナウンスが流れる。ドアが閉まりそうな合図である。
門快關了
ドアが閉まります
MRTでも同様に、ドアが閉まる前に「叮〜」と音が鳴り、黄色いランプが点滅する。走り込み乗車は危ないので、門快關了を聞いたら次の便を待つのが鉄則である。
公車の方向表示も「往○○」形式。停留所の看板に「往信義區」「往松山機場」と書いてあれば、その方面に向かうバスである。MRTと公車を組み合わせて移動するとき、換乘の案内に「轉乘公車(バスに乗り換え)」と表示される。換乘と轉乘はどちらも「乗り換え」の意味で、路線によって表記が異なるだけ。
公車の場合、「在哪裡下車?」が特に重要。停留所の名前が目的地と一致しないことも多く、近くの目印を伝えて「我在○○附近下車(○○の近くで降りたい)」と言う方法もある。運転手や乗客は親切に教えてくれることが多い。自分も何度も助けてもらった。
短い会話例
台北MRTで乗り換えが必要な場面を想定した会話例。
自分:請問,這班往台北方向嗎?
すみません、この電車、台北方面行きですか?
乗客:對,往台北方向。
はい、台北方面行きです。
しばらく乗車。車内アナウンスが流れる。
アナウンス:下一站,忠孝復興。需要換乘的乘客,請在本站下車。
次は、忠孝復興。乗り換えのお客様は、この駅でお降りください。
忠孝復興で降りて、反対側のホームへ。改札を出ずに換乘する。
自分:請問,出口3在哪裡?我要去台大醫院。
すみません、出口3はどこですか?台大醫院に行きたいです。
站務員:出口3往那個方向。到了。
出口3はあちらの方向です。着きました(=あちらです)。
公車に乗る場合の短いやりとり。
自分:請問,去台大醫院要在哪裡下車?
すみません、台大醫院に行くにはどこで降りればいいですか?
運転手:下一站下車。
次の停留所で降りてください。
ベルを押して降車。ドアが閉まる前にアナウンス。
アナウンス:門快關了。
ドアが閉まります。
この一連の流れで、往・下車・換乘・請問・出口・下一站・到了・門快關了がすべて出てくる。一度実際に乗って体験すると、次からはアナウンスの意味が自然とわかるようになる。
よくある間違い
- 「往」を見ずに電車に乗る:方向が逆になる。乗る前に必ず看板の「往○○方向」を確認する。
- 「下車」を「下(した)+車(くるま)」と分解しすぎる:セットで「降りる」と覚えるほうが早い。
- 換乘の案内を見逃す:車内アナウンスの「需要換乘」は乗り換え指示。聞き逃すと一駅先まで行ってしまう。
- 出口番号を調べずに出る:大きな駅ほど出口を間違えると遠回りになる。事前にGoogle Mapsで出口番号を確認する。
- 公車でベルを押さない:降りたい停留所の一つ前でベルを押す。押さないと通過されることもある。
自分も最初、換乘の案内を聞き逃して終点まで行き、折り返す時間をロスしたことがある。アナウンスの「下一站」と「換乘」はセットで耳に入れるようにするとよい。
まとめ
台湾のMRT・公車で押さえる中文は、次のように整理できる。
- 往(wǎng)=〜方面・〜行き。「往台北方向」で方向確認
- 下車(xià chē)=降りること。「在哪裡下車?」で降車場所を聞く
- 下一站(xià yī zhàn)=次の駅。車内アナウンスの定番
- 到了(dào le)=着きました
- 換乘(huàn chéng)=乗り換え。案内板・アナウンスで頻出
- 這班(zhè bān)=この便・この電車
- 請問(qǐng wèn)=すみません、〜を教えてください
- 出口(chū kǒu)/入口(rù kǒu)=出口・入口
- 請進車(qǐng jìn chē)=お乗りください(公車)
- 門快關了(mén kuài guān le)=ドアが閉まります
まずは「往」「下車」「換乘」「請問」「出口」の五つだけ覚えておけば、MRTの乗降と乗り換えはだいぶスムーズになる。車内アナウンスは毎日聞けば自然と耳慣れするので、音声を聞きながら声に出して練習してみてほしい。
自分も最初は案内板の中文を一語ずつ調べていたが、往・下一站・換乘がわかるようになってから、台湾の電車移動はずいぶん楽になった。次の駅で降りる、あちらが出口——この感覚が身についてくると、中文の勉強も日常の移動も両方ラクになる。

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