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九龍城が舞台のピカレスクロマン小説「墓頭 (ボズ)」の紹介と感想






 


関西国際空港から台北への帰りに空港の本屋でカバーに惹かれて手にとった本がこの墓頭。内容紹介を見ると「香港」の文字があったので即会計に向かってすぐに読み始めた一冊。

これは「墓頭」と呼ばれた一人の男の生涯の話でありその墓頭が幼少時代に影響を受けたある施設の子供たちの話。

Amazonにある内容紹介はこちら:

双子の兄弟のなきがらが埋まったこぶを頭に持つ彼を、人々は〈墓頭(ボズ)〉と呼んだ。数奇な運命に導かれて異能の子どもが集まる施設に入ったボズは、改革運動の吹き荒れる中国、混迷を極める香港九龍城、インド洋孤島の無差別殺人事件に現われ、戦後アジアの暗黒史で語られる存在になっていく。自分に関わった者はかならず命を落とす、そんな宿命を背負った男の有為転変の冒険譚。唯一無二のピカレスクロマンがいま開幕する――。

読んだ直後の自分↓ ちょうどパリ行きの便でずっと読んでた。

ピカレスクロマンとは

ちなみに内容紹介にかかれている「ピカレスクロマン」はコトバンクからの説明を引用すると:

…16,17世紀のスペインで流行した〈悪者〉ピカロpicaroを主人公とする小説の様式で,その後のヨーロッパ・リアリズム小説に大きな影響を与えた。悪漢小説,ピカレスク小説,あるいはピカレスク・ロマンという呼称も一般化している。〈ピカロ〉の語源は諸説あっていまだ定説はない。…

とあるが、わかりにくい。Wikipediaにあるどこかの誰かが書いた説明を読んだほうが「ピカレスク小説」についてはしっくりくるかも。欧州サブカル的な単語なので決まった定義はないのかも。

 


自分が理解した定義としてはこのWikipediaのページに書かれている、

(主人公はもちろん「墓頭(ボズ)」のこと)ということであるが、まさにこの小説もこのピカレスク要素が軸にあり物語が進む。

この↑状況をどうやって真逆の状況に持っていくかが物語の流れと混ざって進むから面白い。

困難を乗り越えながらともに好青年に成長していく… 話では決してなくもっと泥臭い時勢にのまれ自分が正しいと思う生き方をただひたすらに生き抜く年を取った少年たちの生き様の話。

著者真藤順丈氏の直木賞受賞作「宝島」も買ったのですぐ読みたい。

戦後沖縄の状況とコザ市を舞台にした戦果アギャーの物語「宝島」は日本人が読むべき一冊
戦後沖縄の状況を嘉手納基地の戦果アギャーの人生に沿って鮮明に強烈に綴った宝島という本を旧正月に一気読みしてしまった。‬ 現代にも続く沖縄の米軍基地問題の始まりとなる戦後のアメリカ統治下の沖縄を、1945年の沖縄戦を生き抜いた若者がどう生きたかを描いた作品で、今まで沖縄の視点から日本やその歴史を見る機会があまりなかったのでもう一つの視点を持つきっかけをくれた、自分にとって素晴らしい一冊‬になった。

その他香港が舞台になる小説:

未必のマクベス 書評 - アジアを飛びまわって仕事をする全ての中年男性に胸を張ってオススメしたい小説
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墓頭、アジア好き、戦後共産主義の革命の動きとか戦後史にちょっとでも興味ある人はぜひ読んでほしい。自分は作中に出てくるカンボジアはまだ行ったことがないので行きたいと思った。

墓頭 (ボズ)


墓頭 (角川文庫)
アジア感じる度 ★★★★★
読みだしたら止まらない度 ★★★★★
気持ちよくラストを迎えられる度 ★★★★★
最後まで読むと救われる度 ★★★★★






 

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