苗栗の通霄神社
先日見に行った「龍騰斷橋」に加えて他にも今住んでいる場所周辺で珍しい観光地はないかなと調べたところ、通霄神社という日治時代に建てられた神社が形を変えながら今でも残っていることがわかったので見に行ってきました。
通霄は「とんしゃお tong xiao」と読み、台湾中西部にある苗栗県の南部にあります。
通霄神社の場所
通霄神社は台鐵の通霄駅から歩いて10分ほどのところにあります。見に行くのであれば車で行くか (道端に駐車OK)、台北駅などから台鐵通霄駅に行きましょう。時間と諸々に余裕があれば台湾を南下する最中に途中下車して見に行ってもいいかもしれません。
通霄神社の歴史
友人によると、戦前の1940年代には200-300社もの神社が台湾にあったとのこと。戦後に日本が台湾から去り中国から国民党政府が台湾の統治を始めた頃には、そういった神社は取り壊されるか忠烈祠(戦死者を祀る場所)に変えられていったらしいです。
台湾宗教百景というサイトに通霄神社の歴史が書かれていました。当時はかなり重要な意味をもつ神社だったようです。
日清戦争(1894年)後に下関条約が交わされ、日本が台湾を接収すると、日本の北白川宮能久親王は近衛師団を率いて台北から南下し、通霄鎮に駐留しました。これを記念して地元の人々が建造した「通霄御遺跡地記念碑」が通霄神社建立のきっかけとなりました。通霄神社は日本統治時代の1937年に完成し、天照大神(日本の天皇の始祖として祀られ、神道の最高神でもある)と北白川宮能久親王が祀られています。第二次世界大戦終結後、1947年に拝殿が通霄忠烈祠に改築されて青天白日の紋章が装飾されたうえ、屋根は中国の伝統的な閩南式の燕尾脊に改築され、殿内には延平郡王の鄭成功と戦争の犠牲になった義士が祀られるようになり、地元の人々からは鄭成功廟とも呼ばれています。日中の建築様式を兼ね備えた日本式の神社として、2002年に苗栗県の歴史建築に登録されています。
― 台湾宗教百景
通霄神社の中の様子
神道文化自体は台湾には残っていないので、神社の中は地元の展示の場として使われていました。
当時からあったものかどうかは書かれていませんでしたが、古めかしい雛人形や羽子板が置かれていました。
神社周辺
神社は虎頭山という小さい山、というより丘のふもとにあります。神社の裏手から坂を登り丘を登ってきました。
10分ほど歩くと砲台と書かれた標識があります。
砲台ありました。
日露戦役望楼紀念碑
こちらは1904年の日露戦争で台湾海峡を渡ってくるロシア艦隊をここで見張りその動向をいち早く日本軍に知らせることで先手を打つことに成功したかつての日本が、この地の功績を讃えて建てた石碑です。日露戦争当時、台湾島は日本の支配下にありました。
場所は神社の右手側の坂と階段を登りきった虎頭山にあります。
日露戦争時にここからロシアの艦隊が通るのを監視していたという説明が書かれた石碑があります。
確かに台湾海峡が一望できますが、本当に台湾海峡でロシア艦隊が横断している様子をここから見れたのか気になってきました。
水平線で見えている距離は普通の人で4-5km先だとかそんなに遠くないとどこかで聞いたことがあったので再度調べてみました。
こちらは Wikipedia から水平線と自分との距離を計算する式について。
観測者から水平線までの距離をx、観測者の海面からの目の高さをh、地球の半径をRとすると、で算出できる。Rをhより十分大きいとみなすと、で概算できる。単位はm。例えば、海面からの高さ20mの建物の上にいる目の高さが1.6mの観測者(つまり目の位置は海抜21.6m)から水平線までの距離は、となり、約16.6kmである。しかし、同じ観測者が水面に立つかたちで計算すると水平線までの距離は約4.5kmとなり、意外に水平線は近いということがわかる。
台湾海峡の台湾-中国大陸間の幅は最大で約180kmほど。北に行くほど幅は狭まり120kmほどになるので、この場所から直線距離で台湾海峡は150kmほど幅があるとします。
正確な海抜の情報がなかったので目算で海抜100mとすると、水平線までの距離は 3570 * √101.7 ( ≈ 100 )で、3570 * 10 = 35.7km となります。台湾海峡で大陸と台湾の中央地点が台湾から約75km ある地点なので、この水平線の距離だとロシア艦隊が台湾に近い海域を航行しないと目視できない計算になります。
中国語でぐぐってもっとよく調べてみると、この石碑がある虎頭山の標高は93mだという情報が出てきました。なので上の水平線距離の計算と同じくらいだと。ということはやはり目視ではなくてロシア艦隊からの電波など目に見えない情報を傍受してそれを日本側に送ったのかと、そういう結論になりました。まぁそりゃそうか。
というわけで歴史感じる台湾中西部の観光地でした。ご覧いただきありがとうございました。これからもこういった日本からの旅行者にはあまり知られていない土地にもっと訪れていきたいと思います。
冒頭に書いた他の台湾中西部にあるうちから近くの観光地はこちら。
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